南北団体が暗黙の連帯 韓国平昌五輪


 韓国の平昌冬季五輪で単一チームを結成した韓国と北朝鮮の女子アイスホッケー代表の応援で、反米反日路線で知られる南北の系列団体が暗黙の連帯をする姿が浮かび上がっている。

北側は応援団引率者に
南側、日本戦で統一旗4500枚搬入

 今回の北朝鮮女子応援団には引率者の一人に「6・15共同宣言実践北側委員会」のカン・スンイル事務局長が加わっている。同委員会は2000年の南北共同宣言の履行を促すため韓国、北朝鮮の双方につくられ、「ウリ(われわれ)民族同士」を合言葉に反米・反日活動に熱を上げてきた。

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14日、関東アイスホッケーセンター(韓国・江陵市)で行われた平昌五輪女子アイスホッケーB組予選の「日本対コリア」で試合開始直前、統一旗を抱えて競技場入りする韓国の「6・15共同宣言実践南側委員会」のメンバーたち(上田勇実撮影)

 五輪とは直接関係のないカン氏の訪韓自体が政治宣言色を帯びたもの。カン氏は日本戦への抱負を問う韓国記者に「日本からは謝罪や補償など取り付けることも多い」と述べた。

 一方、「北側委員会」のカウンターパートである韓国の「南側委員会」は14日の日本戦で南北単一チームを象徴する統一旗をスイス戦(10日)の2倍以上に相当する4500枚搬入し、チケット売り場の周辺で来場者に配布していた。この統一旗には日本が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)も描かれている。追加搬入する様子をあるメディアが撮影しようとすると、「撮るな!」と大声で制止する場面もあった。

 こうした南北団体の活動は金正恩・朝鮮労働党委員長の妹、与正氏の訪韓と文在寅大統領に対する訪朝招請で一気に高まる韓国内の南北融和ムードに乗じたもの。これに加え北朝鮮の意向をくむ在日本朝鮮総連合会(朝鮮総連)が募った応援団も現地入りしている。

 柳東烈・元韓国警察庁公安問題研究所研究官は「南北が互いに暗黙の了解で連帯しており、海外同胞まで交えた三者連帯も動き出した」と指摘した。

(江陵(韓国北東部)上田勇実)