駐韓米大使から“落馬”した対話派
軍事選択を堅持する米政権
駐韓米大使に内定していたビクター・チャ・ジョージタウン大教授が“落馬”した。北朝鮮への「鼻血戦略」(制限的先制打撃)に反対し落馬したというのが定説だ。
しかし、韓米当局は彼の落馬が鼻血戦略に対する異見のためではないと言っている。ホワイトハウス報道官はこの見方を否認したし、韓国では外交消息筋がその主張を裏付けていた。
真相は対北軍事オプション戦略が浮上することが負担になったのだ。米シンクタンク関係者は、「ホワイトハウスが瞬間的に濡れた落葉を火に投げたようなもの」と比喩した。落葉は水気が取れれば燃えるという点を忘れていたという比喩だ。
彼が身を置いている戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ヘイリム所長とマイケル・グリーン副所長は最近相次いでホワイトハウスの対北軍事オプションカードを批判した。これに対してマクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)が怒り、その後チャ教授もホワイトハウスの質問に同じ答えを出して、落馬につながったという話だ。
平常時にも用心深い態度を見せるチャ教授は、トランプ氏の候補時、共和党前職の外交安保官吏数十人が相次いで「トランプ反対」声明を発表しても参加しなかった。彼の上官グリーン氏はその名簿に名前を挙げていた。
グリーン副所長はブッシュ政府時期にホワイトハウス国家安保会議(NSC)専任補佐官として活動し、ビクター・チャはNSCアジア担当補佐官を務めた。トランプ政府スタート以後、ポストと時期だけが問題で、彼はどんな形であれ外交関連職務を引き受けるという話が聞こえ始めた。駐韓大使に指名したというニュースが流れたが、彼は相変わらず言葉を慎んだ。
こうした彼が落馬した。北朝鮮の挑発の余地をなくし、対話しなければならないという彼の主張が軍事的行動なしでは北朝鮮問題の解決は難しいという強硬タカ派の主張に折れたのだ。本来対北“タカ派”に分類される彼の落馬に、韓米両国の学者までが驚いた。ホワイトハウスの超強硬対北接近が類推されたためだった。
それなら彼はトランプ政府の外交安保高官職候補名簿から完全に消されたのだろうか。そうだと見るのが妥当だろう。だが予測が裏切られるのがトランプ大統領の人事術だ。韓半島の変化の激しい気流を考慮するなら、ビクター・チャは共和党政府がいつかは使えるカードだ。
(朴ジョンヒョン・ワシントン特派員、2月8日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。