金正恩氏妹あす訪韓


 韓国で9日開幕する平昌冬季五輪の北朝鮮高官級訪韓団に金正恩・朝鮮労働党委員長の実妹で金正恩氏にとり唯一の腹心とされる金(キム)与正(ヨジョン)・党中央委員会第1副部長が含まれることが分かった。韓国統一省が7日明らかにした。

金与正

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹・金与正氏(2017年10月8日付の労働新聞電子版より)

 与正氏の韓国派遣はいわゆる「白頭の血統」と称される世襲独裁を続ける金氏の血族としては初めて。金委員長の親書やメッセージを韓国側に伝える可能性もあり、その動向に関心が集まりそうだ。

 今回の北高官級訪韓団は「トランプ米政権が対北強硬政策に舵(かじ)を切ったと判断した北朝鮮が対米交渉模索に乗り出した」(韓国政府系シンクタンク関係者)結果とみられ、訪韓団に与正氏を含めた背景には五輪閉幕式への参加が急遽(きゅうきょ)決まったトランプ大統領の長女、イバンカ補佐官を意識し、「身内外交」で相手の真意を探る狙いがあるとの見方が出ている。

 訪韓団は金永南・最高人民会議常任委員長を団長とし、崔(チェ)輝(フィ)国家体育指導委員長、祖国平和統一委員会の李(リ)善権(ソングォン)委員長も訪韓し、11日に帰国する予定。

 一方、韓国の保守系メディアは与正氏や崔輝氏が国連や米国の対北制裁対象である点が問題視される恐れがあると報じている。

(ソウル上田勇実)