旧政権の積弊追及するときなのか


韓国紙セゲイルボ

壬辰倭乱の戒めを胸に刻め

 過去の人物と対話できる機械ができたら誰と対話するだろうか。文在寅(ムンジェイン)大統領が壬辰倭乱(文禄の役)の時の宰相で『懲毖録』を残した柳成龍(ユソンリョン)を相手に話し合えば、どんな内容になるだろうか。

 文大統領は先月、柳成龍の生家がある安東河回村を訪ね、芳名録に「再造山河と懲毖の精神を再確認します」と残した。“国を変える”という意の「再造山河」は李舜臣(イスンシン)将軍が柳成龍に当てた言葉だ。

 文大統領は北朝鮮はじめ周辺情勢が急を告げているにもかかわらず、旧政権の「積弊」を暴(あば)いて清算することに余念がない。

 柳成龍が言う。「一言申し上げる。国を正しく立て直す再造山河より国を保存することがより火急だ。今は風雲急を告げる国難の時で、皆が力を合わせて、風雨を防がなければならない。誰が間違って家を修理したとか問い詰めていては大きな災いを招く」と。

 長い沈黙が流れた。「国を滅ぼした者をそのまま置くことはできない」と文大統領が抗弁すると、柳成龍は、「弊害を放っておけという意味ではない。すべてのことには後先がある。国難の前ではそれに専念すべきだ。保守と進歩に分裂して争えば、国が危うい。壬辰倭乱も東西党派争いで外敵に対処できなかったことから招いた」と諭した。

 これに対して文大統領は、「国論をまとめるにはどうしたらいいのか」と問うと、柳成龍は、「何より大蕩平(不偏不党)人事をしなければならない。側近人事だと批判されれば、国民統合は遠ざかる。天下を制覇した斉の桓公は執務室の外に常に松明を点けて、広く人材を求めた。大統領はろうそくの明かりを大切にする。その光は相互を区分するためにでなく、国の棟梁(とうりょう)を探すことに使わなければならない」と述べた。柳成龍の言葉には非常に厳しく威厳があった。トランプ米大統領の訪韓についても、「友好国の助けも必要だが、より重要なのは自ら国を守るという国民の姿勢だ」として、国が真っ二つになった状態で、さらに半分の南側が保革に割れている現実を叱責した。

 壬辰倭乱が終わった後、柳成龍は血を吐く心情で懲毖録を書いた。再び国民が戦乱の惨禍を体験しないよう警告するためだ。今日韓国の姿はどうなのか。柳成龍が憂えた国論分裂と安保不感症で戦乱の禍根を再び招こうとしていないか。後日、大韓民国はどんな懲毖録を後世に残すだろうか。

(裵然國(ペヨングク)論説室長、11月3日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。