文在寅韓国大統領が就任、首相に知日派・李氏
条件そろえば平壌訪問
韓国の文在寅(ムンジェイン)新大統領(64)は10日正午すぎに国会議事堂ホールで就任宣誓を行って第19代大統領に就任し、「統合と共存の新しい世の中をつくり、国民皆の大統領になる」と決意を表明した。同午後2時半すぎには青瓦台(大統領府)で初の記者会見を行い、内閣の枢要人事を発表し、国務総理に“知日派”の李洛淵(イナギョン)全羅南道知事(65)を指名した。また韓半島の安保危機に関連して、「条件がそろえば平壌も訪れる」との考えを明らかにした。
文大統領は同日朝、国立顕忠苑(国立墓地)を夫人のキム・ジョンスク女史と共に訪問し、「殉国烈士」を参拝して公式日程を開始した。
正午から国会議事堂ホールで就任宣誓を行い、「今日から国民の大統領になる」「勝者も敗者もない」として統合と疎通を強調、自らを「光化門大統領」とし「権威的な大統領文化を清算する」と庶民派をアピールした。
韓半島をめぐる安保問題について、文大統領は、「韓半島平和のために東奔西走する」とし、「(必要ならば)ワシントンに直ちに飛んで行く。北京と東京にも行って、条件がそろえば平壌にも行くだろう」と述べた。
米韓同盟関係を揺るがし、中国の強い反発を招いている「高高度防衛ミサイル(THAAD)」問題については、「米国および中国と真剣に交渉する」との考えを示した。
内閣人事については、「能力と適材適所を人事の大原則として、全国的に等しく要人を登用する」とした。国務総理候補者の李洛淵氏は東亜日報の東京特派員を務めており、“知日派”として知られている。国会議員を4期務め、全羅南道知事に転身した。
国家情報院長候補者には対北朝鮮・安保専門家の徐薫(ソフン)前国家情報院第3次長(63)を指名した。徐氏は2000年(金大中〈キムデジュン〉政府)と2007年(盧武鉉〈ノムヒョン〉政府)の2度、南北首脳会談に関与しており、韓半島エネルギー開発機構(KEDO)の事務所長として2年間、北朝鮮に駐在した経験もある。徐氏の人事は今後の南北関係改善や南北首脳会談をにらんだものとの見方がある。
官房長官に相当する大統領秘書室長には国会議員を2期務めた任鍾晳(イムジョンソク)氏(51)を指名した。任氏は漢陽大総学生会長と全大協議長を務め、「386世代」の学生運動家出身で左派政権の要となる。
(ソウル岩崎哲)