韓国大統領に文在寅氏、9年ぶり左派政権誕生
保守系与党の洪氏2位、中道・安氏は3位
昨年の国政介入事件を発端とする朴槿恵前大統領の弾劾・罷免で前倒しされた第19代韓国大統領選挙が9日実施され、開票の結果、最大野党・共に民主党の文在寅候補(64)が得票率41・08%を記録し、保守系与党・自由韓国党の洪準杓候補(62)、中道左派・国民の党の安哲秀候補(55)らを大差で抑え優勢だ。最終投票率は77・2%。
文氏は朴前大統領と与党を「国政壟断勢力」と位置付け、ろうそくデモを通じた政権退陣運動を追い風に20代から50代までの幅広い世代に支持された。地域別では保守地盤の慶尚道・大邱(南東部)を除く全国主要市道で最も高い支持を得たもようだ。
文氏はこの日夜、国会議員会館の党開票状況室を訪れ「政権交代を願った国民の切なる思いが勝利の原動力となった」と述べた。韓国で左派政党が政権を握る場合、盧武鉉政権以来、約9年ぶり。
洪氏は弾劾の影響とその是非をめぐる保守派分裂のあおりを受けながらも親北左派政権の誕生に警鐘を鳴らし、保守票を結集させたが24・03%で2位。安氏は保革対立の弊害を訴え中道の価値を主張し、一時、文氏と支持率が拮抗したが、テレビ討論会での低評価などが響き失速。洪氏に逆転を許し21・41%で3位にとどまった。
与党離党組から成る保守系・正しい政党の劉承ミン候補(59)は6・76%で4位、左派系・正義党の沈相ジョン候補は(58)は6・17%で5位だった。
今回の大統領選は朴前大統領罷免に伴う補欠選挙で、通常は約2カ月間にわたり政権運営の準備を行う大統領職引き継ぎ委員会を発足させず、中央選挙管理委員会で文氏の当選が正式に承認される10日午前にも大統領職務をスタートさせる。就任式は各国から招待客を招く関係などから約1カ月後に行われるとの見方が出ている。
(ソウル上田勇実)