憂慮される韓米同盟の位置付け


韓国紙セゲイルボ

サード合意も米大統領選次第

 いま韓米同盟には異常兆候が窺(うかが)える。11月、米大統領選挙で共和党候補ドナルド・トランプ氏が当選し、公約した通り在韓米軍駐留費用、韓米自由貿易協定(FTA)等の再協議が行われれば、韓米同盟の枠組み自体が揺れるだろう。

 最近公開された民主党大統領選挙政治綱領草案はアジア・太平洋地域で、「豪州と日本、ニュージーランド、フィリピン、韓国、タイとの同盟をより一層深化していくだろう」としている。2008年の大統領選挙政治綱領に、「日本、豪州、韓国、タイ、フィリピンなどの同盟国と強力な関係を維持する」としたのに比して、韓国の順位が下がっている。米大統領選挙以後、韓米同盟の位置付けが下がるのではないかという憂慮が生じている。

 北朝鮮の舞水端中距離ミサイル技術が進展していることへの対応はもとより、サード(高高度防衛ミサイル=THAAD)配置発表を急いだ理由は米韓同盟の確認であった。

 韓国社会は北朝鮮の核・ミサイル脅威に直面しながらも、安保懸案に対して非常に鈍感だ。熱心に無視したりもする。それでいて安保に問題が生じれば右往左往する。これまでサード配置に対して真剣な議論がなかったために、政府発表に国民は当惑を隠せずにいる。サード配置の必要性にある程度共感が形成されていたら、波紋がこのように広がらなかっただろう。

 政府の政策樹立・執行能力に対する国民の不信が事態を悪化させた。政府が高度な対応戦略や解決法を持っていたのか疑問だ。中国・ロシアと配置予定の星州住民の反発は予想を大きく超えて、民間外交安保専門家たちでさえ、少なくない数が反対意見を出しているのを見れば、その疑問が大きくなる。

 しかし、論議が広がっても安保を最優先議題とするところから外れてはならない。韓米同盟に基づいた安保論理でこの難関を突破するものの、配置期間を定めることを提案する。国防部高位関係者はサード配置発表直前の説明会で、「北朝鮮の核・ミサイル脅威が消えればサードがある理由がなくなるだろう」と言った。それを公式化すべきだ。

 政府の立場を論理的に説明し、相手を説得しなければならない。原則を守り、真正性を見せれば理解を得られるはずだ。危機を免れようと、その場しのぎの便法と見せ掛けだけで対処していては、信頼を失い、水の泡になってしまう。

(朴完奎(パクワンギュ)論説委員、7月20日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。