日米中G3体制と韓国の危機
韓国紙セゲイルボ
国家利益が犠牲になる公算も
2012年9月、中国大陸では反日運動が燎原の火のように広まった。日本の尖閣諸島国有化措置が導火線だった。尖閣海域には両国の船舶と航空機が対立し、一触即発の戦雲が漂っていた。北京の日本大使館にはデモ隊が反日スローガンを叫びながら押し寄せた。閉店する日本食レストランが続出し、日本製品不買運動まで広がった。
当時、現地の韓国企業は喜色を隠さなかった。北京の企業関係者は、「中国市場で日本と韓国企業間の競争品目が多く、日中関係が悪化するほど、売り上げが増える」として、「日中葛藤の背後でほくそ笑むという話があるほどだ」と耳打ちした。
外交的実利も少なくなかった。国際会議で日中間の直接対話がなく、両国とも韓国外交官を通じて対話をするのが常だったという。
ところが、最近、両国間におかしなことが展開している。先月末、日本メディアなどで、両国は政府と中央銀行が参加する経済・金融協議体を年内にスタートさせることにしたという報道が出てきた。黒田東彦日銀総裁は、「中国人民銀行と通貨スワップ(対等交換)を議論している」として、事実上、協議体スタートを既定のものとした。
昨年からソフトランディング憂慮と外国為替・金融不安など二重苦に苦しめられてきた中国としては、日本の強大な資本力が必要だ。中国は為替レート防御のために、この1年だけでも最少5000億㌦以上を注ぎ込んだと伝えられる。14年6月には4兆㌦に肉迫した外国為替保有額も1月末現在3兆2309億㌦に減った。
協議体のスタートは米国と中国のG2が日米中の「G3」体制に進化していることを象徴する道標ではないだろうか。世界的不況の中でも量的緩和で経済復活に成功した米国、アベノミクスで「失った20年」の眠りから覚めた日本、高成長なしでは体制維持が難しい13億人口大国中国。彼らは今後も葛藤と協力を繰り返しながら、激烈な覇権競争を行うことは間違いない。
G3体制は韓国にとっては大きな危機だ。日米中がお互いの共通利益を求めて行く過程で、韓国経済の実益が反映されにくく、外交位置づけも弱まるからだ。またG3間の葛藤が激しくなる時は韓国の国家利益が犠牲になる公算も大きい。
いまや国際舞台を貫く新潮流に神経を尖らせながら、対外経済と通貨・外国為替戦略、外交路線を「実事求是」(事実の実証に基づいて物事の真理を追求する)で確かめてみなければならない時だ。
(朱春烈(チュチュルリョル)経済部長、2月11日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。