不十分な北朝鮮の歴史と現実情報
韓国紙セゲイルボ
統一実現へ「二国史記」研究を
高麗王仁宗(インジョン)(在位1123年~46年)の命によって、金富軾(キムブシク)が「三国史記」を書いたのは、高句麗、新羅、百済の領地を統治することになった高麗王朝として、統一国家の政治を遂行する上で、各々異質だった地域と人に対して深層から理解する必要からだった。
一方、われわれは果たしてこの70年余りの間、異なる政治体制下で、それぞれの歴史を生きてきた北朝鮮の政治と外交、人物に対して、王の伝記と列伝が叙述できる程、知識を持っているだろうか。
メディアでは時々脱北者による断片的な情報がもたらされるが、北の歴史と政治に対する体系的な知識をわれわれは持っていない。それどころか、北政権と住民によって作られた歴史と現実をいつの間にか認めようとしない態度がわれわれの中にある。
かなり前に両江道と慈江道など、新しい行政区域が作られたのに、われわれは相変わらず「以北五道」と呼んでいる。これが変化した北朝鮮の現実を直視しようとしない象徴なのかもしれない。
このように北朝鮮の歴史と現実に対する知識と情報が不十分なままでは、統一後、北朝鮮政権と住民の心を動かす対北政策を樹立することは不可能だ。
大統領直属の統一準備委員会が発足して15日で1年を迎えた。設置以後、統一準備委は大統領の関心の中で、外交安保、経済、社会文化、政治法制度の各分科を置き、統一憲章制定、非武装地帯(DMZ)生態平和公園建設、羅津・ハサン地区開発など南北協力事業参加、脱北者定着支援、統一に対する周辺国家の共感を得るための公共外交方案などの課題に対する学術研究を行ってきた。
特に朴槿恵(パククネ)大統領が毎回、会議に出席し、韓国政府が吸収統一でない漸進的交流協力による平和統一を推進し、対北政策の核心が北朝鮮の孤立にあるのではなく、国際社会の責任ある一員に誘導することにあると説明したことは、国民的共感を得ることができる内容だ。
ただし、われわれが希求する方向の統一政策を講じるのも重要だが、北政権と住民が何を考え、どういう国家建設を追求しているのかも深く考える必要があるだろう。
この70年間、発展した韓国だけでなく、北朝鮮政権と住民による国家形成と変動の歴史も合わせて調べる「二国史記」の研究が、もしかしたら統一準備の第一歩かもしれない。
(朴栄濬〈パクヨンジュン〉国防大安保大学院教授・国際政治学、7月24日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。