押し寄せる「デフレの恐怖」、信頼できない政府の掛け声


韓国紙セゲイルボ

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野外コンサート中に換気口が崩落した事故現場=17日、韓国京畿道城南市(AFP=時事)

 「デフレの恐怖」が押し寄せている。各国が崩れる経済を支えるために、天文学的な金融緩和を行った。だが別段効果はない。経済は生き返らず、物価は下がる一方だ。

 多額の借金を抱えている米国、日本、欧州連合(EU)の一部国家。国と個人の借金が増えると財政危機解決どころか、帝国は破産の崖に追い詰められる。衰退を防ぐカギは成長とインフレにならざるを得ない。ゼロ金利と量的緩和政策。金利を史上最低水準に下げて、もう何年も金をむちゃくちゃに撒(ま)いている。

 これは対岸の火事ではない。基軸通貨を動かす世界経済三大勢力がもがけば、小さい半島の国、韓国経済が完全なわけはなかろう。

 この数年間の韓国の経済政策は情けないものだった。世界が「デフレとの戦争」を行っていた時に、ずっと物価抑制にこだわった。世界がゼロ金利戦争の時、金利を下げなかった。世界が金融を緩めているのに躊躇(ちゅうちょ)するだけだった。手遅れになって騒ぐだけだった。

 日本が「輪転機を回して、札を刷る」というアベノミックスを全面化する時、何といったか。「失敗するだろう」と。そして何も行動しなかった。

 ウォン高の勢いはなぜ続いて、企業はなぜわめいているのか。「行動しなかった」政府と中央銀行のせいではないのか。輸出の翼は折れた。電機電子、造船、鉄鋼、自動車。何か一つでも盛んなところがあるのか。サムスン電子を除けば、企業の売り上げ・収益状態が1997年の外国為替危機の時よりさらに悪いという。

 だから、「内需市場を育てなければならないと言ったではないか」という。本当に退屈な声だ。家計負債1000兆ウォンは誰が抱え込んでいるのか。中産層以上の階層だ。不動産資産価値の下落で、借金だけそっくり抱えた彼らが利子にも耐えられないのに、どうして金を使うだろうか。

 崔”煥(チェギョンファン)経済副総理・李柱烈(イジュヨル)韓銀総裁が修正経済路線を主導しているが、別段、特別な内容もない。金利引き下げ、財政資金解決、不動産市場活性化…。他の国がすべてしている政策だ。

 成功の可能性は灰色だ。なぜ? 同意を集めることができないからだ。国民の意思を一つにできないのに、政策の追求力が出るか。意思が集まらないのは、誰彼構わず、ぶつかり合い対立しているからだ。国会は政争を繰り広げ、社会では理念葛藤が続く。

 だが、根本的な理由は政府にある。「国家革新」を言いながら、「キム・ヨンナン法原案」に対しては口を閉じ、「官僚マフィア一掃」を叫びながら、天下りを放置し、「公共改革」を言いながら、料金引き上げで公共機関の赤字と借金問題を解決するという。国民が信頼し拍手を送るだろうか。

 道徳で武装しないリーダーシップが力を発揮したことはない。国の経済を守ろうとするなら、「刃の抜けた革新の刃物」を取り替えるべきだ。

(姜浩遠〈カンホウォン〉論説室長、10月21日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。