野党2候補が一本化 投票直前 尹氏に有利か


3日、ソウルで、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦氏(左)支持を表明後、同氏と抱き合う保守中道野党「国民の党」の安哲秀氏(EPA時事)

3日、ソウルで、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦氏(左)支持を表明後、同氏と抱き合う保守中道野党「国民の党」の安哲秀氏(EPA時事)

 今月9日投開票の韓国大統領選挙に出馬した保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦候補と中道系野党「国民の党」の安哲秀候補は3日、安氏が尹氏を支持し、自身は辞退する候補一本化を劇的に発表した。革新系与党「共に民主党」の李在明候補との大接戦が続く中、尹氏が選挙戦終盤で一本化にこぎつけ、形勢を有利にする可能性が出てきた。

 失政続きの文在寅政権を批判し、今回の選挙で政権交代を訴えている尹氏と安氏は一本化を模索してきたが、候補選出方法などをめぐり対立し、先月、安氏が交渉決裂を宣言。しかし、その後安氏の支持率は下落し、党幹部や支持者などからも一本化を促されていた。4日から始まる期日前投票を前にぎりぎりのタイミングで安氏が決断したとみられる。

 尹氏と安氏は3日の共同記者会見で一本化について説明。安氏は「まずは選挙で勝つ、政権交代が必要。より謙虚な姿勢で国民に訴えたい」と述べ、選挙後には国民の力と国民の党が合流し、より幅広い層の期待に応える「国民統合政府」を作ると強調した。

 尹氏は「今日から二人は事実上一つになった」として中道路線の受け入れをアピール。勝敗を決するとみられる浮動票の取り込みに意欲を示した。

 野党2候補の一本化を受け、与党の禹相虎・総括選挙対策本部長は「ポスト分配式の野合」と批判する一方、「最後に大きな変動要因が発生した」として危機感を募らせた。

 野党2候補が尹氏に一本化された場合を想定した最新の世論調査によると、支持率は尹氏47・4%、李氏41・5%でやや尹氏が優勢。特に浮動票が李氏より尹氏により多く流れる結果が出た。

(ソウル・上田勇実)