「メディアは信頼取り戻せ」朝鮮半島和平で役割重要に
国際平和言論人協会ウェブセミナー
世界各国の報道機関や言論人が恒久平和の構築に向けて協力する「国際平和言論人協会」(IMAP)は4月30日、「朝鮮半島平和構築へのメディアの役割:日欧の視点」をテーマとするウェブセミナーを開催し、日欧の報道関係者や専門家が議論を交わした。
アルバニアのジャーナリストで政治討論番組の著名な司会者であるルトフィ・ダルビシュ氏は、かつて共産主義国だったアルバニアが「欧州の北朝鮮」と呼ばれていたことを紹介し、「ジャーナリズムが100%プロパガンダである国では、真実が真っ先に犠牲になる」と指摘、国民に真実を伝えるジャーナリズムの重要性を強調した。
同氏はまた、2019年に大規模な地震がアルバニアを襲った際、インターネット上で拡散したフェイクニュースが混乱を助長したことを挙げ、「世界で最も軍事化された地域の一つである朝鮮半島でフェイクニュースがもたらす影響を考えると恐ろしい」と表明。伝統的なメディアが現在直面する課題は「信頼性の高い情報源となり、偽情報に対処することだ」と主張した。
宮塚利雄・宮塚コリア研究所代表は、韓国と北朝鮮が「情報宣伝戦」の一環で散布する宣伝ビラについて、「閉鎖的な超独裁体制下で暮らす北朝鮮国民にとっては、外部情報を得る重要な手段であり、自由や民主主義、人権のためには不可欠なメディアだ」と指摘。北朝鮮に非核化の必要性を訴える手段として、「新聞・テレビ・インターネットのほかに空中散布するビラの果たす役割も大きい」と主張した。
南シナ海における中国海洋進出に関する著作もある英BBCのハンフリー・ホークスリー氏は「朝鮮半島はドイツ統一と比較されるが、中国がソ連のように崩壊することで統一する可能性は低い」との見通しを示した。
黒木正博・世界日報社長は「朝鮮半島と欧州は、南北朝鮮と東西ドイツという民族の分断という共通項を抱える。地域の平和構築に向けて欧州の経験や知見は日本にとっても大いに参考になる」と語った。
セミナーではまた、トーマス・マクデビット米ワシントン・タイムズ紙会長があいさつしたほか、元英BBCアジアエディターのリタ・ペイン氏が司会を務めた。
IMAPは昨年2月にソウルで発足し、日本事務局は世界日報が担当している。
(本ウェブセミナーの詳報は後日掲載します)