北朝鮮 原潜建造 初めて認める
金正恩氏「設計終え最終審査」
バイデン米次期政権に揺さぶり
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が原子力潜水艦の建造計画を初めて公式に認めた。9日付の党機関紙・労働新聞が、5日に開幕した第8回党大会で正恩氏が言及したと伝えた。
同紙によると、正恩氏は第7回党大会(2016年5月)以降の各分野における実績報告で、「核戦争抑止力」と関連し、「新しい核潜水艦(原潜)設計研究が終わり、最終審査段階にある」と述べた。これが事実とすれば、原潜建造に近く着手することになりそうだ。
また正恩氏は、今後5年間の目標の一つとして「核長距離打撃能力を高める上で重要な意味を持つ核潜水艦と水中発射核戦略武器を保有する」とも明らかにした。5年以内の保有を目標に掲げたことで、建造に拍車が掛かることも予想される。
原潜は酸素補充のための海面浮上を必要とせず、長時間の連続潜航が可能。北朝鮮の原潜が太平洋まで潜航した場合、米国は核兵器による本土攻撃の脅威にさらされることになる。
今回の党大会で正恩氏は「最大の主敵である米国を制圧し屈服させることに焦点を当てなければならない」などとし、米国との対決姿勢を鮮明にさせている。バイデン新政権発足をにらみ、原潜建造など新たな脅威を振りかざすことで揺さぶりを掛けた格好だ。
これまで本紙は、北朝鮮が密(ひそ)かに原潜建造を進めている事実(17年9月14日付1面記事「北朝鮮、密かに原潜建造」)や原潜用鋼板のサンプルを台湾から密輸していたこと(19年12月19日付1面記事「北朝鮮が原潜用鋼板の密輸模索」)を報じてきた。今回、北朝鮮が原潜建造を自認したことで、これらの報道が裏付けられる形となった。
(ソウル 上田勇実)