EEZ内に大規模な海底資源群
メタンハイドレート、レアアース、海底熱水鉱床…
30年代後半以降の商業化目指す
人類最後のフロンティアといわれる深海底には多くの資源が眠っている。尖閣諸島付近の大規模な油ガス田をはじめ、日本の排他的経済水域(EEZ)内にもレアメタルやメタンハイドレートなど豊富な海底資源が存在している。領海やEEZの基点になっているのが国境離島で、それらの島は将来、海底資源開発の拠点となる可能性もある。課題は採掘のための技術不足やコスト過多などだが、技術開発が進むことで将来的には日本が資源大国になることも夢ではない。
海底資源は陸上資源に比べてレアメタルの含有率が高いのが特徴で、2011年には太平洋の広い範囲、12年には南鳥島周辺海域に、レアアースを含む膨大な堆積物があると発表された。自動車やパソコンなどの生産に欠かせないレアアース、現在中国からの輸入に頼っているが、海底資源の利用が進めば、自給への道が開かれる。昨年東京大学などの研究グループが小笠原諸島・南鳥島沖の海底から採取したレアアースで白色LED照明を作ることに世界で初めて成功。政府は2020年東京五輪での活用も検討している。
メタンと水が結晶化したメタンハイドレートは水深500㍍よりさらに深い海底や海底よりさらに下の地層に埋蔵されている。平成19~20年度に東部南海トラフ海域で行われた調査では、約1・1兆立方平方㍍のメタンガスに相当する複数のメタンハイドレート濃集帯を確認。これは2011年度の日本の液体天然ガス輸入量の約11年分に当たる。効率的な採掘方法や生産技術が確立されれば、今後有望な国産資源となることが期待されている。
海底の地中から熱水と共に噴き出した鉱物が堆積した鉱床を海底熱水鉱床と呼ぶ。銅・鉛・亜鉛・金・銀などを含有し、水深700㍍から2000㍍と比較的浅い場所に分布しているため、開発には有利とされているが、世界的に見ても成功例はほとんどなかった。 しかし、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は今年8~9月にかけて、沖縄近海にある海底約1600㍍の海底熱水鉱床から鉱石の連続回収に世界で初めて成功したと発表。JOGMECでは平成30年代後半以降の商業化プロジェクト開始を目指している。