離島の活性化が日本を守る
古くは「大八島国」と呼ばれた日本。「古事記」にはイザナギ、イザナミ二神の「国産み」によって、淡路島、四国、隠岐、筑紫(九州)、壱岐、対馬、佐渡、本州の八つの島がまず誕生したとされる。わが日本が島国であることは神代からの認識であった。そこから島国独特の文化や「和の精神」が育まれた。
実際の日本は、6852の島から成る。そのうちの400強が人の住む有人離島で、半数以上が人口500人以下という。過疎化、少子高齢化が進み、将来、無人島化の危機を抱える島もある。
少子高齢化現象は、離島においては既に昭和60年代から始まっていた。「離島は日本の未来予想図」(小島愛之助日本離島センター専務理事)なのである。
離島の中でも国境域にある島は、日本の領海や排他的経済水域(EEZ)の基点となっている。国の守りのまさに最前線にあるのだ。北方四島や竹島、尖閣諸島の問題を考えると、離島は安全保障の側面からも日本の未来像といえる。
国境離島を守るためには、そこに人が住んでいること、人の営みがあることが重要だ。人口減を食い止めるには、社会インフラの維持、医療や教育環境の整備、そして何より産業と雇用が必要だ。
このような離島の現状への危機感を背景に昨年4月、「有人国境離島法」が施行された。さまざまな支援の内容を含んでいるが、中心は、起業支援などによって産業を活性化させることにある。
地方移住は、東京一極集中を抑え、地方創生を成功させるための一つのポイントだ。離島の自然に引かれた若い人たちが移住し、人口の増えている島も出てきている。ITを駆使しての新しいビジネスの模索も始まっている。
離島には海洋性の豊かな自然がある。そして島には、温かい人情が残っている。島はわれわれを招き、その来訪を待っている。