アイランダー2017 全国の離島が大集合
「島への移住」メインテーマに
全国から200以上の島が集まる「アイランダー2017」(主催・公益財団法人日本離島センター)は、11月18~19日の2日間にわたって東京・東池袋のサンシャインビルで開かれた。同イベントは平成5年から毎年開催されており、毎回1万人以上の来場者が訪れる。島の特産品や観光の紹介もあるが、メインテーマは「離島への移住」だ。(石井孝秀)
魅力満載、制度充実で受け入れ
会場には各島のブースがズラリと並び、島の特産品などを販売。海水のニガリで作る佐賀県・玄海諸島の石割豆腐のように完売する名物もあれば、山口県・周防大島のみかん鍋といったユニークな料理も並ぶ。長蛇の列ができたのは新潟県・佐渡島の「金塊つかみ取り」の体験コーナーで、会場全体が楽しい雰囲気にあふれている。
同イベントの最大の目玉である移住については各島に相談コーナーが設置され、役所の職員や実際に島へ移住した人が無料相談員を務める。島の自然や生活に憧れる若いカップルがアドバイスをもらうため、同コーナーに相談に訪れるという姿もあった。
公益財団法人日本離島センターの三木剛志広報課長は「最近は半定住やイベントで人手が足りないという時に来てくれたりするような関係人口の人たちが増えている。また、ここ数年では学生の姿も顕著になってきた」と語った。
移住相談員として同展に参加した後藤峻さん(34)も、去年の4月に広島県江田島市の能美島へ家族と共に移住してきた一人。もともと広島県の出身だったが、島と海が好きだったこともあって江田島への移住を決めたという。「移住に不安がないわけではなかったが、自然もあるし保育園も選べるほどあった。東京に住んでいたときは子供が待機児童になりかけたし、子育ては街中よりも向いている」と言う。
受け入れる島側も移住者に選ばれるような取り組みを進めている。
長崎県・五島では移住を検討している人に短期滞在を奨励。1~3カ月間、島内で生活体験するための住宅や必要な家具などを無料で提供している。また、島で就職活動をする際の旅費支援や島内就労者の奨学金返済の援助など、若者や子連れの夫婦を対象とした制度も今年度から始まった。
五島への移住者は年々増加傾向で、27年度は50人、28年度は66人、今年度は既に70人を超えている状況だという。
五島市役所商工雇用政策課の川端博之さんは「テレビや雑誌などの離島ブームの影響を感じる。移住者はUターンの人が多く、夫婦の一方が五島出身者という人もいる」と説明した。
三重県・答志島では全国の離島の中でも唯一となる、小中学生の島留学制度「寝屋子の島留学」を来年春から始める。「寝屋子」とは中学を卒業した男子数人が同じ里親の家で一緒に暮らす同島独自の制度。
島留学した子供は1年間島に住所を移し、島民の里親の家から島の学校に通う。母親や親類と共に生活することもでき、都会の学校に行き詰まった子供たちの受け入れも想定している。
同島では漁業が盛んで、漁師で生計を立てられる一方、後継者の確保が重要な課題となっており、小さいころの島での生活体験を持たせて将来の移住につなげたい考えだ。
寝屋子の島留学実施委員会の浜口正久会長は「これまで寝屋子という制度で島の子供たちを育ててきたので、今度は島外の子供たちを育ててていきたい」と語った。また、島の将来について「自足可能な島であり続けたいというのが私たちの願い。どこかに頼るのでなく、自分たちの力で島の未来を作っていきたい」と強調した。
移住相談に訪れた東京・立川市在住の平田春奈さん(27)は「沖縄出身で、将来的に戻りたいと考えている。島での仕事の見つけ方などを相談できてとてもよかった。海がきれいなところで農業をしてみたい」と語った。