「被災地の希望に」、福島市出身の若隆景が初優勝


決定の瞬間に歓声と拍手、人一倍負けん気が強く稽古に励む

「被災地の希望に」、福島市出身の若隆景が初優勝

小学生時代の若隆景関(中央)。3兄弟の末っ子で、右は次男の若元春関、左は長男の若隆元さん=2003年8月2日(父の大波政志さん提供)

 大相撲春場所で新関脇若隆景関(27)が初優勝を決めた27日、出身地福島市のJR福島駅西口駅前広場でパブリックビューイングが開催され、市民らが大型モニターで白熱した取組を見届けた。優勝決定戦で高安関を破った瞬間、「おおー」という大きな歓声と拍手が湧き起こった。

 観戦した市内在住の古川英男さんは「福島市民には大きな希望になった。ありがとうと言いたい」と興奮冷めやらぬ様子。銀行員小椋勝行さんは「東日本大震災とその後の地震でつらいことも多かったが、本当に元気をもらった」と喜んだ。

 春場所4日目の16日夜に福島県沖で発生した地震により、福島市で両親が経営するちゃんこ料理店「若葉山」も多くの食器やグラスが割れる被害を受けた。父の大波政志さんによると、相撲を始めた小学校時代は負けてばかりで、大相撲の力士になるまで兄2人に全く歯が立たなかったが、人一倍負けん気が強かった。政志さんは「(稽古を)やれといったらやめろというまでやる子だった」と話す。

 若隆景関の母校、学法福島高校(福島市)の相撲部員で1年生の阿部佑磨さんは「最後の土俵際はすごいの一言しかない。頑張って見習いたい」と話した。