事件の遺族ら再結成、「新あすの会」が発足
東京都千代田区で創立大会、「犯罪被害者庁」設立を求める
犯罪被害者基本法制定に尽力し、2018年に解散した「全国犯罪被害者の会」(あすの会)が26日、「新全国犯罪被害者の会」(新あすの会)として再発足した。東京都千代田区で事件の遺族や被害者約70人が創立大会を開き、「犯罪被害者庁」設立を国に働き掛けることを宣言した。
事件で妻を殺害され、あすの会を設立した岡村勲弁護士(92)が代表幹事に就任。被害者の生活苦が改善されていないことから再結成を決めたと話し、「被害者には相談できる人がいない。たらい回しではなく、一元的に寄り添う組織が必要だ」と訴えた。
神戸連続児童殺傷事件の遺族土師守さん(65)や、桶川ストーカー殺人事件の遺族猪野京子さん(71)らが幹事となった。来賓として上川陽子前法相も参加した。
新あすの会は、加害者に損害賠償が命令されても大半は支払いが実現しないなど、補償が確保されていない現状を問題視。国が被害回復を確立するよう政党に働き掛けていくという。
副代表幹事でオウム真理教による公証役場事務長拉致事件の遺族仮谷実さん(62)は取材に、事件後は各種手続きや入院費など経済的負担を迫られる上、メディアスクラムにも遭い厳しい状況に置かれると指摘。「信頼して頼れるワンストップサービスが必要だ」としている。
あすの会は2000年、岡村弁護士を中心に結成。04年の基本法制定、刑事裁判への被害者参加制度導入を推進した。環境改善や会員の高齢化を理由に18年6月に解散した。