宮城・福島両県、度重なる地震で建物が脆弱に
震度6強から1週間、専門家訴え「補修だけでなく耐震化を」
宮城、福島両県で最大震度6強を観測した地震から23日で1週間が経過した。同地域は2011年3月の東日本大震災、昨年2月の震度6強と大規模な地震を経験。過去の揺れに耐えた建物にも、今回は損傷が相次いでいる。専門家は度重なる地震で建物が脆弱(ぜいじゃく)になっていると指摘し、補修だけでなく耐震化などの必要性を訴えている。
今回の地震を含め計3回の揺れを経験した福島県相馬市の建設業斉藤新さん(54)の自宅は玄関の壁が剥がれ、窓ガラスが割れた。大震災よりも被害は大きく、「度重なる地震に家が耐えられなくなった。昨年の地震の後に細かい補修をしたが、今回は別の場所に傷ができた」と肩を落とす。
昨年の地震で1300棟以上が被災した宮城県山元町。今回の地震では22日から罹災(りさい)証明の手続きが始まり、1000件以上の申請を想定する。妻と2人暮らしの伊藤秀孝さん(85)は08年の岩手・宮城内陸地震で被災した家が大震災で全壊。再建した自宅は昨年の地震では無事だったが、今回は壁にひびが入った。「けがをしなくて良かったが、(相次ぐ被害に)片付けるのも嫌になる」とため息をついた。
昨年の地震では、発生1週間で宮城、福島両県の3100棟以上の被害が確認された。今回は23日正午時点で計約1160棟。ただ揺れが大きかった地域の被害はまだ反映されておらず、福島県の担当者は「被害が深刻で市町村の調査が進んでいないのでは」と推測する。
震度6強だった宮城県登米市では、22日時点で昨年の地震時の約3倍になる約460件の罹災証明の申請があった。担当者は「今後も増えそうだ」と話す。
東北大災害科学国際研究所の柴山明寛准教授は現地調査で、過去の地震では無事だった家屋やブロック塀の損傷などを確認。「建物が弱くなっており、今後の地震で大規模な被害につながる可能性がある。補修をするだけでなく、補強や耐震化を」と呼び掛けている。