震度6強の宮城・福島、罹災証明の申請に人殺到
断水で応急給水続く、苦悩する被災者「家壊すべきか」
最大震度6強を観測した宮城、福島両県の断水地域で21日、通水が全域に拡大された。ただ配管損傷による漏水が新たに多数見つかり、自治体は応急給水を続けた。罹災(りさい)証明の申請には大勢が集まり、「家を壊すべきか」と悩む人もいた。
福島県相馬市役所では21日早朝、罹災証明の申請が始まった。新型コロナウイルス対策で原則オンラインや郵送としていたが住民が殺到し、午前9時の受け付け開始を早めた。
「申請まで2時間以上かかります」
職員の声が響く中、自宅兼店舗が被災した自営業の男性(66)は手続きを終えた。「何とか住めるが、窓ガラスが割れ、夜は寒くて眠れない。建て直すべきか、修理すべきか判断できない」と頭を抱えた。
試験通水は21日、市内全域に拡大したが、水質検査を終えていない地域も多い。南相馬市や新地町を含め992世帯で断水が続いている。
相馬市内の給水所には約20人が次々に訪れた。ペットボトル9本分を給水したパート従業員の女性(52)は「洗濯物はたまっているし、お風呂にも早く入りたい」と話した。
宮城県角田市は同日午前に断水が解消されたとしたが、170カ所で漏水が確認された。応急給水所を訪れた木村篤子さん(78)は「まだ水は出ない。お風呂にも入れないし、洗濯もできない」と漏らした。
角田市役所には罹災証明の申請に約300人が訪れた。加藤満・税務課長は「(震度6強の地震があった)昨年2月より圧倒的に多い。東日本大震災からの度重なる地震で建物も弱っているのでは」と話す。屋根瓦が壊れるなどした伊藤恒男さん(82)は「被害は大震災よりひどい。もう起きないと思っていたら、昨年も今年もあった」と嘆いた。
明治から大正期に建てられた同市指定文化財の郷土資料館は建物に亀裂が入るなどした。担当者は「昨年2月の地震から修復途中だったのに、また地震に襲われた。予算も限りがあるのに」とため息をついた。