ライフラインは寸断、地震が医療現場を直撃


人工透析「数十人で手動操作」、電源・給水車でしのぐ

ライフラインは寸断、地震が医療現場を直撃

断水と停電が発生した相馬中央病院を視察する内堀雅雄福島県知事(左)に被害状況を説明する標葉隆三郎院長=18日午後、福島県相馬市

 福島県沖を震源とする地震は、医療現場も直撃した。震度6強を観測し、断水などが続く福島県相馬市。透析患者を受け入れている相馬中央病院では一時、看護師ら数十人が手動操作で治療を続けた。

 相馬市は発生後からほぼ全域で断水し、現在も広い範囲で通水できていない。送電も不安定で、18日午前も停電が起きた。

 同病院の標葉隆三郎院長らによると、腎不全で通院する透析患者は約70人だが、現在は被災した他病院の患者15人も受け入れる。

 しかし、地震が起きた当初は一時、23台ある透析装置に通電できず、看護師や職員ら20~30人が張り付き、緊急時用のハンドルを手回しして返血操作を続けた。標葉院長は「東日本大震災を教訓に災害訓練を行っていたため、専門外のスタッフでもやり方が分かっていた」と振り返る。

 それでも、手動操作は限界。「(血の)循環が止まると血が固まってしまう。復電がいつになるか分からない中、一時的に透析を中止せざるを得なかった」と明かす。

 人工透析には大量の水も欠かせない。患者1人に1回の透析で使う量は約120リットルに上る。透析専用水を作るためなどに、1日だけでも約18トン以上が必要になるという。

 現在、同病院の医療提供体制は電源車2台と給水車1台でしのいでいる。職員の1人は「給水は定期的に来るが、遅れる時もある。治療のスケジュールは決まっており、その時必要な水が届かないと困る」と話し、ライフラインの早期復旧を訴えた。