SNS経由の未成年誘拐、 昨年は過去最多の86人
家出少女の被害が増加、警察当局が警告へ取り組み開始
昨年1年間にインターネット交流サイト(SNS)を利用して略取誘拐の被害に遭った18歳未満の子供は前年比11人増の86人で、過去最多となったことが10日、警察庁のまとめで分かった。家出をした少女らが被害者となる事例が増加しているとみられ、警察当局は少女らを誘い出す投稿などに警告を出す取り組みを始めた。
略取誘拐は、脅迫や誘惑をするなどして、相手を自らの支配下に置く行為。SNS上では家出をした少女らが宿泊場所を探す行為が見られるが、男性らが誘うなどした場合は同意があっても未成年者略取誘拐に該当する可能性がある。
警察庁によると、SNSを利用して略取誘拐の被害に遭った子供は2012年は2人だったが、17年は21人、20年は75人と急増した。スマートフォンの普及などが要因とみられる。
愛知県警は20年、ツイッター上の「家出して困っている人、連絡ください」といった投稿に対し、「それ誘拐かも」などと警告する画像を貼り付ける対策を開始した。少女らの投稿に対する警告も試行しており、同庁は全国への拡大も検討する。
同庁によると、SNSの利用で犯罪被害に遭った子供の総数は前年から横ばいの1812人だった。高校生が937人で約半数を占め、中学生が718人、小学生が83人いた。
内容は、みだらな性行為を禁じた青少年保護育成条例違反が665人で最多。撮影した自身の裸画像を送信するなどの児童ポルノが657人と続いた。殺人の被害者も2人、強制性交等は34人いた。同庁は、SNSの運営業者が不適切な投稿を自主的に削除する取り組みを支援するなど対策を進める。