ウクライナの子供たちの絵、3月11日に公開へ
高田賢三さんと親交深い渡辺実さんが計画、「悲痛な叫びを」
ウクライナ各地で子供たちが東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、平和への思いを込めて描いた絵画5枚が3月11日、福島、東京、京都、広島、長崎の5都市で同時公開される方向で計画が進んでいる。
絵画を保管する静岡県富士宮市在住の渡辺実さん(65)が計画。制作は2017年3月、世界的ブランド「KENZO」創業者のファッションデザイナー、故高田賢三さん=20年に81歳で死去=がウクライナを訪問して順次始まった。
5枚は▽首都キエフ(2枚)▽チェルノブイリ原発の作業員が暮らす北部スラブチッチ▽親ロシア派武装勢力との紛争が続く東部ドネツク、ルガンスク両州-でそれぞれ制作された。
渡辺さんはアパレルメーカーのパリ駐在員時代に高田さんと親交があり、一緒に子供たちに制作を呼び掛けた。2月24日のロシアのウクライナ侵攻に心を痛め、まず富士山麓で公開した。
今も現地のウクライナ人と交流がある渡辺さん。絵画5枚の公開計画について「戦争や(南部ザポロジエ)原発への攻撃などで、人々は生きた心地がしないと言う。悲痛な叫びを日本に届けたい」と訴えている。
絵画1枚のサイズは、巨匠ピカソが戦争の悲惨さを表した「ゲルニカ」と同じ縦3・5メートル、横7・8メートル。ビニールにアクリル絵の具で描いたもので、子供たちが手掛けることから「キッズゲルニカ」と呼ばれる。