原発事故から11年、処理水海洋放出の準備進む
東電福島第1原発、1号機の格納容器内部を本格調査へ
東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故発生から、11日で11年となる。この1年間、放射能汚染水から放射性物質を低減した「処理水」の海洋放出に向けた具体的な計画が策定され、関連施設の準備も始まった。一方、1号機では溶け落ちた核燃料(デブリ)の確認に向け、原子炉格納容器内部の調査が本格化する。
処理水には放射性物質トリチウムが取り除けず含まれている。東電が敷地内のタンクで保管している処理水は2月時点で約128万トン。タンクの総容量は約137万トンで、このペースだと来年春頃に満杯となる見込みだ。
東電が昨年12月に発表した計画によると、処理水はトリチウム以外の放射性物質が基準値未満に減っていることを確認した上、海水で100倍以上に希釈。再び取り込まないように、海底トンネルを経て沖合約1キロで放出するという。
原子力規制委員会による審査が終われば、トンネルなどの施設の工事を始め、来春の完成を目指す。ただ、海洋放出に対しては漁業関係者ら地元の反発が根強く、東電は「理解を得るよう努める」としている。
一方、廃炉作業の山場とされるデブリ取り出しに向けた作業も進められた。1号機では2月から、5年ぶりとなる原子炉格納容器内部の調査が始まった。
調査は6種類の水中ロボットを使う予定で、「ガイドリング」取り付けのため最初に投入されたロボットは、格納容器内で塊状の堆積物を発見した。東電はデブリの可能性もあるとみて、詳細な調査を続けている。
先行する2号機では、年末にもデブリの試験的取り出しが始まる。ロボットアームが1月、原子炉の模擬施設がある福島県楢葉町に到着。今後、取り出し開始に備え、訓練などが始まる。