弾劾裁判初公判、岡口基一判事「深くおわびを」
SNSへの不適切投稿で、弁護側は罷免について争う姿勢
ツイッターなど会員制交流サイト(SNS)に不適切な投稿をしたとして裁判官訴追委員会から訴追された仙台高裁の岡口基一判事(56)の初公判が2日、国会の裁判官弾劾裁判所(裁判長・船田元衆院議員)であった。岡口判事は「表現行為の中に不適当なものがあり、深くおわびを申し上げたい」と述べる一方、認否は弁護人に委ねると話した。
判事の弁護側は、「威信を著しく失う『非行』には該当しない」として罷免について争う姿勢を示した。
SNS投稿という表現行為が原因での訴追は初めて。弾劾裁判では過去7人が罷免判決を受け、裁判官の身分を失った。
訴追状によると、岡口判事は2017年、東京都江戸川区の女子高校生殺害事件に関し、「無残にも殺されてしまった」とツイッターに投稿。19年には「遺族の方々は(投稿を厳重注意した)東京高裁に洗脳されている」とフェイスブックに書き込むなどし、裁判官としての威信を著しく失う非行があったとされる。
初公判では訴追委員会が訴追状を朗読。これに対し弁護側は、投稿など事実関係の大部分を認める一方、「遺族を傷つけようとするものではない」として罷免理由となる非行には当たらないと主張した。一部の投稿については、訴追時効が過ぎていると訴えた。
事件の遺族らから訴追請求を受けた訴追委員会は昨年6月、岡口判事の罷免を求めて弾劾裁判所に訴追。判事は判決まで職務が停止されている。次回公判期日は追って指定される。