ウクライナ侵攻「早く収束を」、安否を気遣う


壁画を制作したミヤザキさん、外交関係樹立25周年記念

ウクライナ侵攻「早く収束を」、安否を気遣う

ウクライナの首都キエフで日本との外交関係樹立25周年を記念して描かれた壁画。最後列中央の男性がミヤザキケンスケさん=2017年7月(Over the Wall提供)

 「一日も早く収束してほしい」。ロシア軍がウクライナへの攻勢を強める中、平和や共存への思いを込めて世界中で壁画を描き続ける画家ミヤザキケンスケさん(43)は、一緒に壁画を制作した現地の人たちの無事を祈り続けている。

 ミヤザキさんは2015年からケニアのスラム街やエクアドルの女性刑務所などを回り、現地の人たちと一緒に壁画を制作する「Over the Wall」という活動を続けている。日本とウクライナの外交関係樹立25周年となった17年には、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力し、ウクライナの首都キエフと東部のマリウポリでそれぞれ手掛けた。

 キエフではシリアやアフガニスタンからの難民の子供たちと一緒に、満開の桜の下で日本とウクライナの国旗を手に走る人たちを描き、マリウポリでは14年に起きた紛争の弾痕が残る学校の壁に、ウクライナ民話の「てぶくろ」をモチーフにした巨大な絵を残した。マリウポリにはアニメなどを通じて日本が好きな人が多く、夏休み中の子供や市民が大勢手伝ってくれたという。

 「紛争地の近くだったので、平和の象徴になればという思いを込めた。一緒に描いていた人たちも戦争で亡くなってしまうかもしれないと思うと悲しいし、やりきれない」。ミヤザキさんはこう言って肩を落とす。

 昨年も京都市とキエフの姉妹都市50周年を記念する絵を制作したばかり。「ウクライナを遠い国と思わず、現状を日本の人々に知ってほしい。そのために自分ができることを考えたい」と力を込めた。