巨大隕石衝突は北半球の春、白亜紀末恐竜に打撃


国際チームがチョウザメ類の骨など分析、絶滅に季節が影響

巨大隕石衝突は北半球の春、白亜紀末恐竜に打撃

約6600万年前の巨大隕石(いんせき)衝突後、巻き上げられた水や土砂が北米の河川に押し寄せる想像図(スウェーデン・ウプサラ大提供)

 約6600万年前の白亜紀末に巨大隕石(いんせき)が衝突し、現在のメキシコ・ユカタン半島沿岸に「チチュルブ・クレーター」が形成された時期は、北半球の春だったとみられることが分かった。スウェーデン・ウプサラ大などの国際研究チームが、衝突直後に土砂に埋まって死んだチョウザメ類の骨などを分析した成果として発表した。論文は24日、英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。

 白亜紀末は恐竜や翼竜など大量の生物が絶滅したことで知られ、原因は巨大隕石衝突とその後の地球寒冷化と考えられている。研究チームは衝突直後の被害について、春に卵が産まれ、かえるまで時間がかかる恐竜などのダメージが大きかったと指摘。

 一方、秋だった南半球では、冬眠や巣ごもりで巣穴に入っていた哺乳類などは生き延びやすかったと考えられ、どの種が絶滅したかに季節が影響したとみている。

 分析対象は2017年に米ノースダコタ州で発掘されたヘラチョウザメの顎の骨やチョウザメの胸びれのとげ。季節による成長速度の違いや、餌の動物プランクトンに由来する炭素同位体比率の変動から、死んだのは春だったと結論付けた。

 巨大隕石衝突の「爆風」が生息していた河川に及び、巻き上げられた土砂に埋まったとみられる。