スピードスケートの高木美帆、厳しい銀
宿敵ブストが五輪新、攻めても届かず五輪の厳しさを実感
レース直前。女子1500メートルの高木美が気持ちをつくろうとしていたところで、興奮気味に「五輪新」と言う場内アナウンスが響いた。マークしたのは4年前に金メダルをさらったブスト。またしても目の前に立ちはだかった。
「わたしが(上回るタイムを)出せれば勝てるし、出せなければ届かない」。そう割り切って最終組のスタートラインに立った。
最初の300メートルはブストよりも0秒41速い25秒10で通過。新型コロナウイルスに感染したためリンクに来られないデビット・コーチに「気持ちを強く持って行くだけ」と助言された通り、積極的な出だしでトップスピードをつくったところまでは良かった。
しかし、そこからが微妙に狂いが。徐々にペースが落ち、最後の1周のラップは31秒22。直前の1周よりも2秒近く遅かった。ラップの落ち幅を抑える持ち味を発揮できなかった。出だしで突っ込み過ぎた影響もあったか。「今このタイミングでレースを評価するのは難しい。自分が出せるものを出せた結果」と受け止めた。
本命視された1500メートルで2大会続けて銀メダル。5日の3000メートルに続き、思い描いた結果を引き寄せることはできなかった。「個人種目に限らず、この舞台で金メダルを取るのは難しい」。改めて五輪の厳しさをひしひしと感じている。(時事)