福岡県警、漫画「ネタバレサイト」を書類送検


せりふをウェブサイト上に無断掲載の疑い、近年社会問題に

福岡県警、漫画「ネタバレサイト」を書類送検

漫画のせりふやコマの一部を無断で複製し、福岡県警に著作権法違反容疑で摘発された「ネタバレサイト」の画面。サイトは既に閉鎖されている(小学館提供)

 連載中の漫画のせりふなどを書き写し、ウェブサイト上に無断掲載したとして、福岡県警生活経済課などは3日、著作権法違反の疑いで、サイトを運営していた東京都渋谷区の会社と、金沢市に住む代表者の男(44)を書類送検した。男は行為を認める一方、「引用の範囲で、自分が著作権を持っていると思っていた」と容疑を一部否認しているという。

 漫画そのものを無断で公開する「海賊版サイト」ではなく、せりふを丸写ししたサイトが摘発されるのは珍しい。作品の内容や結末を無断で明かすサイトは「ネタバレサイト」と呼ばれ、多くは広告収益が目的とみられている。

 送検容疑は2020年5月7日ごろと21日ごろ、金沢市内の自宅で、漫画「ケンガンオメガ」の60話と62話について、せりふや情景、登場人物の名前を文字起こしした文章や画像をウェブサイトに掲載し、不特定多数の利用者が閲覧できるようにした疑い。

 作品は小学館の漫画アプリなどで連載されており、作者が「せりふのほぼ全体を無断公開され著作権を侵害された」として、サーバーの管理会社に発信者情報の開示を求め提訴。東京地裁は昨年3月、侵害を認め、開示を命じる判決を言い渡していた。

 男はアプリで作品を閲覧し、画面を保存する「スクリーンショット」機能を使って画像を複製していたとみられる。サイトは既に閉鎖されているが、県警は男が広告掲載による収益を得ていたとみている。

 作品を購入しなくても内容が分かるウェブ上でのネタバレ行為は、近年社会問題化している。昨年は、映画を無断編集して結末を明かす「ファスト映画」の投稿者3人が宮城県警に逮捕、起訴され、有罪判決を受けた。