御嶽海、照ノ富士破り3度目の優勝、大関昇進へ
精神面の課題を克服「楽しめた」、成長の証しはっきりと
拍手とどよめきが包んだ館内。「皆さんの歓声がうれしかった」。高ぶる気持ちを抑えるように、御嶽海は大きく息をして花道を引き揚げた。
照ノ富士にしっかり当たると、左からおっつけてまわしは許さない。意識したのは「自分の相撲を取る」という一点だけ。横綱の攻め手が止まった隙に2本差し、腰を下ろして寄り切った。
明確な大関とりの場所ではなかったが、昇進への思いは秘めていたという。だからこそ、「気合をいつも以上に入れないといけない」と誓って臨んだ今場所。前に出る内容にもこだわってきた。
安定して三役で勝ち越す地力がありながら、2桁白星がつながらずにいた。本人も自覚していた精神面の課題。「すごく長く感じた」ほどの重圧と闘い、連敗せずに13個の白星を積み上げた。
以前から御嶽海への期待を口にしてきた八角理事長(元横綱北勝海)は、「(今場所は)集中力が、がたがたしなかった。一つ成長した」と評価。本人が、優勝が懸かった一番を「すごく楽しめた」と言ってのけたあたりにも、一皮むけた様子が見て取れる。
場所後の大関昇進が確実に。来場所は貴景勝、正代の両大関がともにかど番とあって、より一層責任も増す。「皆さん、注目していてください」。新三役となってから5年以上も雌伏の時を過ごした大器が、不敵に笑った。