阿武咲が主役を撃破、三役復帰へ「心」充実


一瞬の隙逃さず御嶽海を破る、「思い切ってやるだけ」

阿武咲が主役を撃破、三役復帰へ「心」充実

御嶽海(左)を攻める阿武咲=20日、東京・両国国技館

 やや緊張した面持ちの御嶽海とは対照的に、阿武咲の目には力があった。勢いよく頭で当たると、両腕を伸ばして上体を起こす。一瞬の隙を逃さず、体を開いて引き落とし。「足がそろったところが見えていた。落ち着いていた」。軽くうなずき、土俵にはった相手の横を悠然と歩いた。

 今場所の主役とも言える御嶽海との対戦だったが、「誰が相手でも変わらない。思い切ってやろうというだけ」と平静を保った。新年恒例の書き初めでは、大きな字で「心」と記した。その言葉通り、精神面の充実が感じられる。

 21歳だった2017年九州場所で新小結となったが、右膝を痛めて在位2場所で平幕に落ちた。4年ぶりとなる三役返り咲きに向け、「その気持ちはあるが、しっかり一日一番、思い切ってやるだけ」。目の前の勝負に集中できている。

 古傷を抱える右膝のテーピングが目立つ今場所は、7日目に阿炎に土をつけるなど、じわりと存在感を示している。東前頭5枚目でまずは給金を直し、大関正代らに挑む最後の3日間に向かう。