北勝富士、会心のおっつけで御嶽海に土
「いい当たりから足を運べた」しのぎ削った相手に土
御嶽海への対抗心や、先場所で味わった悔しさ。さまざまな感情をぐっと抑え、北勝富士は土俵に上がった。「自分らしく一生懸命やる」。鈍い音を立て、頭からぶつかった。
左右の強烈なおっつけで出足を止めた。じわじわと押し込むと、根負けした御嶽海が珍しく引いた。その隙に一気に押し出し、「いい当たりから足を運べた」と自賛した。
八角理事長(元横綱北勝海)も思わずうなる。「会心の相撲だね。きょうは北勝富士を褒めてやって」。本領を発揮した弟子の姿に、普段は厳しい師匠が賛辞を贈った。
2019年春場所で新小結となり、幕内上位に定着してきたが、昨年秋場所の途中休場が響き、先場所は西前頭12枚目まで番付を落とした。取組後に宿舎に戻ると、まだ続く大相撲のテレビ中継が目に入る。「悔しい気持ちが強かった」と奮起し、西4枚目からの三役返り咲きを目指している。
御嶽海とは学生時代からしのぎを削り、幕内での対戦成績も11勝12敗に。大関昇進の足固めを狙い、連勝街道を走っていた「もともと負けたくない相手」に土をつけた。「いい相撲を取れてよかった」。上昇気流に乗って終盤戦に挑む。