阪神大震災27年、あの日の記憶「忘れない」
「癒えないショック」「笑顔で生きよう」それぞれの思い
神戸市中央区の公園「東遊園地」で開かれた阪神大震災の追悼の集いには17日、夜明け前から多くの遺族や被災者らが集まった。会場が改修工事中のため、灯籠の数を減らすなど規模は例年より縮小されたが、参加者は「忘」の字をかたどった火を囲み、静かに犠牲者をしのんだ。
兵庫県西宮市の高井千珠子さん(60)は、1歳半だった長男の将君を亡くした。山口県から里帰りした際に被災。双子の子供のうち将君がたんすの下敷きになった。「27年がたち、残る人生を(無事だった)長女と笑顔で生きようと思えるようになった」と今の心境を話す。将君には「いつか会えるまで見ていてね」と心の中で語り掛けたという。高井さんの母、土河朱美さん(84)は「優しくて元気な子だった。ごめんね、と思い続けている」と孫を悼んだ。
神戸市中央区の福田純子さん(79)は、友人を震災で亡くしたショックが癒えず会場に来られない娘(54)の代わりに参加。亡くなったのは娘の中学時代の同級生で、「消極的で人見知りの娘と通じ合うところがあったのだと思う」と推し量る。「もう27年になるので、来年は一緒に行こうと声を掛けたい」と前を向いた。
地震発生時刻には、兵庫県内各地で黙とうがささげられ、西宮市の西宮震災記念碑公園では市民ら約200人が静かに手を合わせた。看護師の平井桜子さん(29)は、かわいがってくれた伯母=当時(53)=を亡くした。当時の記憶はないが、両親から話をよく聞かされていたという。名前が刻まれた碑を前に、「おばちゃんに見守られ、毎日頑張っています」と報告した。