宮城・閖上から参加、二つの震災犠牲者を悼む


お互いの被災地を行き来し10年、参加者「絆深まった」

宮城・閖上から参加、二つの震災犠牲者を悼む

東日本大震災の地震発生時刻の午後2時46分に合わせ黙とうする人たち=17日午後、兵庫県三木市

宮城・閖上から参加、二つの震災犠牲者を悼む

東日本大震災と阪神大震災の追悼行事で、献花台に手を合わせる長沼俊幸さん(左)と兵庫県三木市の仲田一彦市長=17日午後、同市

 阪神大震災から27年となった17日、兵庫県三木市で、ボランティア団体「神戸・心絆(ここな)」が追悼行事を行った。東日本大震災で津波の被害を受けた宮城県名取市閖上地区の被災者11人を招き、参加者約30人が灯籠の火を前に二つの震災の犠牲者を悼んだ。

 心絆は東日本大震災翌年の2012年から、毎年1月17日に竹灯籠をともして震災の犠牲者をしのんできた。3月と8月には現地での追悼行事のため竹灯籠を持って閖上を訪れ、交流は10年にわたる。

 昨年は新型コロナウイルスの影響で閖上の被災者らが来られず、会場で一緒に手を合わせるのは2年ぶり。参加者らは再会を拍手で祝い、抱き合った。

 「心・結・絆」などの文字をかたどった竹灯籠約1000本が並べられ、東日本大震災が起きた午後2時46分、参加者らが黙とう。心絆代表の杉山正秀さん(61)は「お互いの被災地を行き来することで心の絆が深まった。かけがえのない家族」と話した。

 閖上中央町内会長の長沼俊幸さん(59)は「共に震災を経験した悲しいつながりだが、懐かしむ関係を築けたことがうれしい」と語った。津波で家が流され、8年間の仮設住宅での生活を経て閖上に戻った管原則子さん(72)は「毎年神戸に来るのが楽しみ。顔を見ると元気が出る」と笑った。