阪神淡路大震災、犠牲者悼み明かりともす
きょう27年、兵庫県伊丹市の昆陽池公園で追悼「新しい光」
阪神大震災から27年を迎えるのを前に、兵庫県伊丹市の昆陽池公園で16日、ろうそくをともし犠牲者を追悼する集いが開かれた。地震発生12時間前の午後5時46分、犠牲者の数と同じ6434本のろうそくに向かい、参加者約600人が黙とう。明かりは17日の発生時刻までともし続けられる。
集いは、ボランティア団体「ユー・アイ・アソシエーション」が震災翌年から開催。毎年全国からメッセージ入りのろうそくが集まり、伊丹市立西中学校は今年、過去の追悼に使われたろうそくを再利用するなどして作った約6000本を同団体に送った。団体代表の赤松弘揮さん(53)は「これまでなかった新しい光が見えてきた」として、今年のテーマを「萌芽~きざし~」に決めた。
「気付いたら2階が目の前に」。同県西宮市の滝川澄子さん(45)は、自宅が全壊し、頭のすぐ横に2階部分が落ちてきたという。「あの時の思いを受け継いでいくことが大事」と家族4人で手を合わせた。伊丹市の涌本佳奈子さん(37)は「子供ができて命への向き合い方が変わった」と語った。昨年初めて参加。今年は0歳の息子を抱き、静かにろうそくの火を見詰めた。
新型コロナウイルスの感染対策として、会場には全身をアルコール消毒するゲート型の機器を設置。参加者にはマスクや手袋の着用を呼び掛けた。
17日に追悼行事が開かれる神戸市中央区の「東遊園地」でも16日夕、集まった市民らが「忘」の字をかたどった紙灯籠に火をともし、午後5時46分に黙とうをささげた。