軽井沢スキーバス事故6年、「記憶にとどめて」


遺族やバス業界関係者ら、初の「集い」で安全安心を誓う

軽井沢スキーバス事故6年、「記憶にとどめて」

長野県軽井沢町のスキーバス転落事故から6年を迎え、「祈りの碑」に手を合わせる遺族の(左から)大谷慶彦さん、池田彰さん、田原義則さん=15日午後、同町

 長野県軽井沢町でスキーツアーバスが転落し、大学生ら15人が死亡した事故は15日、発生から6年を迎えた。現場付近で、遺族と国土交通省や同町、バス業界関係者らが参加し「安全安心なバス運行を誓う集い」が初開催され、事故の風化を防ぎ、バスの安全運行などを誓い合った。

 会では「多くの関係者が交通の安全を願う思いを共有し、さまざまな活動や取り組みがさらに広がっていくことを期待する」との斉藤鉄夫国交相の言葉が代読された。その後、現場に建てられた「祈りの碑」の前で参列者が献花し黙とうした。

 遺族でつくる「1・15サクラソウの会」代表の田原義則さん(56)は「6年、7年たつと当然、風化していく。記憶の片隅にとどめてもらうため、こういう活動をやっていくしかない」と語った。

 「また会いたい」。長女の衣里さん=当時(19)=を亡くした池田彰さん(56)は娘にこう気持ちを伝えた。6年が経過したが、「いっときも忘れることはない。長くつらい気持ちで過ごしている」と苦しい心中を吐露した。

 長男の陸人さん=同(19)=を亡くした大谷慶彦さん(56)は「家族の一人がいなくなったあの日から記憶が止まっている。あっという間の6年だった」と心境を明かした。集いではバス業界関係者らから「安全を最優先にする」という話があったといい、「(再発防止に向け)第一歩という会ができた」と話した。

軽井沢バス転落事故
 2016年1月15日午前1時50分ごろ、長野県軽井沢町の国道18号碓氷バイパスで、東京から県内のスキー場に向かっていた大型バスが崖下に転落。大学生13人と運転手2人が死亡、26人が重軽傷を負った。事業用自動車事故調査委員会は、大型バスの運転に不慣れで山道の走行経験も十分でない運転手が、速度超過でカーブを曲がりきれなかったと指摘した。運行会社の社長らが、訓練を怠ったなどとして業務上過失致死傷罪に問われ、公判では「事故は予見できなかった」と無罪を主張している。