猪苗代湖ボート3人死傷事件、福島地裁で初公判
遊泳中の家族にボートが接触、被告は起訴内容を一部否認
福島県会津若松市の猪苗代湖で昨年9月、遊泳中だった家族らにプレジャーボートが接触し、男児=(8)=が死亡、母親ら2人が重傷を負った事件で、業務上過失致死傷罪に問われた会社役員佐藤剛被告(44)の初公判が27日、福島地裁(三浦隆昭裁判長)であった。佐藤被告は「前方左右の船の動きを注意深く見ていたが、被害者が浮いているのは全く見えなかった」と述べ、起訴内容の一部を否認した。
検察側は冒頭陳述で「被告がボートの操縦者として義務付けられていた適切な見張りを怠ったため起きた」と過失を指摘した。被告は、事故を起こしたことは争わないとした上で、「被害者に取り返しのつかないことをして申し訳なく思っている」と謝罪した。
起訴状によると、被告は昨年9月6日午前、猪苗代湖で友人らが乗ったボートを、安全確認を怠ったまま時速15~20キロで操縦。回転中のプロペラに遊泳中だった家族らを巻き込み、千葉県野田市の小学3年の男児を死亡させ、母親に両脚切断、友人の男児にも重傷を負わせたとされる。両親は初公判後に取材に応じ、「1年以上たっても、息子がいないことを突き付けられる。謝罪したからといって許すことは到底できない」と述べ、母親は涙ぐんでいた。