鹿児島市、生ごみから「バイオガス」を製造
全国で初めて都市ガスに利用、1万世帯分を賄う見通し
鹿児島市は27日、収集した生ごみを発酵させ、一般家庭に供給する都市ガスの原料「バイオガス」をつくり出す施設を含めた「新南部清掃工場」の完成式を開いた。市によると、生ごみからつくられたバイオガスを発電に利用する例はあるが、都市ガスにするのは全国初だという。同市では、約13万世帯が都市ガスを利用しているが、施設の稼働により、周辺市などを含め約1万世帯分のエネルギーが生ごみ由来で賄われる見通し。
完成式で鹿児島市の下鶴隆央市長は「資源循環型社会や脱炭素社会の構築をけん引し、2050年までの二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロ実現へ向けた象徴的な施設にしたい」と宣言した。福田貴人工場長は「一般家庭から出た生ごみが回り回って都市ガスになり、脱炭素社会やエネルギーの地産地消が進んでいくということを市民に身近に感じてもらえたら」としている。
新施設では、家庭から排出された生ごみなどと微生物を高温で混ぜて発酵させ、バイオガスを製造。この中にはメタンガスとCO2がおおむね半分ずつ含まれており、不純物を除去するなどしてメタンガスの純度を95%以上に引き上げる。これを日本ガス(鹿児島市)が買い取り、成分調整などのためプロパンガスと混ぜた上で、都市ガスとして一般家庭に供給する仕組みとなっている。