飯塚繁雄さん、病床で記した「八重子」の名


遺族ら会見「無念だったと思う」、一刻も早い救出訴える

飯塚繁雄さん、病床で記した「八重子」の名

北朝鮮による拉致被害者家族会の飯塚繁雄前代表の死去を受け、記者会見する遺族の飯塚耕一郎さん(右)と、後任の横田拓也代表=25日午後、東京都港区

 北朝鮮による拉致被害者田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄で家族会前代表の飯塚繁雄さん死去を受け、田口さんの長男飯塚耕一郎さん(44)や、後任の横田拓也代表(53)らが25日、東京都内で記者会見した。繁雄さんは病に倒れた後、八重子さんの名前を紙に記し、気掛かりな様子を見せていたという。

 繁雄さんに息子として育てられた耕一郎さんは、「無念だったと思う。被害者と会えないまま亡くなる家族がこれ以上増えることは許容できない」と憤り、一刻も早い救出を訴えた。

 耕一郎さんによると、繁雄さんは11月18日に体調を崩して緊急入院し、今月18日未明に息を引き取った。死因は間質性肺炎と血管炎だった。ひつぎには、生前好きだったお酒や食べ物、家族会の活動などについて書き留めていた手帳を入れて送り出したという。

 繁雄さんは入院中、病室で気掛かりなことを紙に書き出していたといい、「家族会」という欄には、後任の横田拓也さんの名前と共に「八重子」と記されていた。多くの言葉は交わせなかったが、耕一郎さんは「以心伝心で、私に八重子さんの救出を託したいのだと感じた」と振り返り、「会わせてあげられなかったことは心残りだ」と声を落とした。

 「きっと繁雄さんは、泣いている暇があったら一歩前に進みなさいと言ってくれているだろう」。横田代表はそう語り、「家族がこれ以上悲しみに触れることがないよう、日本政府には具体的解決策を講じてほしい」と求めた。