自衛隊、救助や輸送に最大規模の人員を集中投入
日本海溝・千島海溝地震で甚大な被害、災害対処計画策定へ
甚大な被害が予想される日本海溝・千島海溝地震で、被災者救助や物資輸送など初期対応の中心的な役割を担うのが自衛隊だ。既に首都直下地震と南海トラフ地震については、政府の被害想定に基づき最大11万人規模の部隊を集中派遣する災害対処計画を策定済みで、海溝地震でも最大規模の人員を集中投入する計画の具体化を急ぐ。
東日本大震災で、自衛隊は発生後9カ月間で延べ1058万人の隊員を被災地に派遣。1万9000人を救助し、支援物資など1万4000トンを運んだ。炊き出しや給水のほか、重機でがれきを撤去したり、施設部隊が仮設の橋を架けたりして輸送路の確保に努めた。
経験を生かし、震災後はヘリや輸送機を増強し、災害時の拠点となる基地の施設整備にも取り組んだ。現在も、命令から1時間以内に出動できる即応部隊「ファストフォース」(車両1100両、航空機80機など)が平素から待機。災害に備え自治体などと連携した訓練も重ねる。
2015年には、陸自北部方面隊が中心で日本海溝・千島海溝地震を想定した災害対処演習「ノーザン・レスキュー」を実施。米、豪両軍の部隊も参加した。首都直下地震などを想定し毎年行っている統合防災演習でも、計画ができれば海溝地震を取り上げ、対処能力の向上を図るとみられる。
防衛省統合幕僚監部の担当者は「被害想定を踏まえ、しっかり対応できるよう、これまでの検討を深める」と話している。