大阪ビル火災、通院患者らが犠牲者悼む


24人が死亡、放火の疑い強く「許せない」と憤りも

大阪ビル火災、通院患者らが犠牲者悼む

火災があったビルの前で献花し手を合わせる男性=18日午前、大阪市北区

 24人が死亡した大阪市北区のビル火災から一夜明けた18日午前、現場前には火元となったクリニックの通院患者らが次々と訪れ、犠牲者を悼んだ。放火された疑いが強く、「許せない」と憤る声も聞こえた。

 ビルの入り口は規制線が張られ、ブルーシートで覆われたまま。クリニックが入居していた4階の窓は黒く焼け焦げており、ビル前には多くの花束や缶ビールなどが供えられていた。

 通院していたという神戸市の20代男子大学生は「優しい院長だった。無事を祈りたい」と話し、静かに手を合わせた。一方で、「犯人は許せない。きちんと法の裁きを受けてほしい」と怒りもあらわにした。

 「ニュースを聞いて、まさかと思って身体が震えた。残念でたまらない」。患者の大阪市の男性会社員(51)は黙とうし、涙ぐんだ。同市の自営業男性(39)は「月曜日が最後の通院になるとは思わなかった。狭いビルに入るのが怖い」と不安を漏らした。

 近くに宿泊していた堺市の40代女性も、ビルの向かいから黙とうをささげた。「たくさんの人が亡くなったので、悲しい思いで手を合わせた」と沈痛な面持ちで語った。

 障害者支援に携わる大阪市の50代女性は「クリニックにはこれから第一歩を踏み出す人がたくさん集まっていたと思う。いたたまれず、胸がつかえた」と話し、花束を手向けた。

 午前10時ごろ、段ボールや脚立などを持った警察官や消防士が現場検証のため、次々とビルに入った。近くで働く清掃業の70代女性は「(火災の)ニュースを見てびっくりした。きょうは仕事をするときも怖かった」と声を震わせた。