フェンシング女子フルーレ団体、パンダが虎に


成長示したW杯準優勝、闘志を植え付けたボアダンコーチ

フェンシング女子フルーレ団体、パンダが虎に

フェンシングのワールドカップで準優勝した女子フルーレ団体の日本チーム。左から上野優佳、東晟良、フランク・ボアダンコーチ、菊池小巻、宮脇花綸=12日、フランス・サンモール(日本フェンシング協会提供)

 12日にフランスのサンモールで行われたフェンシングのワールドカップ(W杯)女子フルーレ団体で、上野優佳(中大)、東晟良(日体大)、菊池小巻(セガサミー)、宮脇花綸(マイナビ)の4人で臨んだ日本が準優勝を果たした。W杯同種目での過去最高成績に、上野は「チーム全体がまとまって戦った。次こそは金メダルを獲得したい」。主力に20代前半が多い若いチームが、3年後のパリ五輪へ好スタートを切った。

 男子エペ団体の金メダルに沸いた東京五輪のフェンシングだが、実は開催国枠を使わずに五輪出場権を得たのは団体6種目で女子フルーレだけ。本番は6位にとどまったが、表彰台に立てる潜在力は備えていた。

 強化が進んだ理由として、かつてフランス代表を指導したフランク・ボアダンコーチの存在を挙げる関係者が多い。菅原智恵子コーチによると、ボアダン氏は2016年リオデジャネイロ五輪後に就任すると選手に呼び掛けたという。「海外の選手はみんなをかわいいと言っている。動物に例えるならパンダ。タイガーみたいなチームになってほしい。相手を殺しちゃうぐらいの気持ちを持たなきゃ駄目だぞ」。器用さに定評があったチームに闘志を植え付けた。

 意識改革を促された宮脇や菊池が国際大会の個人で表彰台に立ち、年齢の近い東らを触発。相乗効果が生まれて全体のレベルアップにつながった。試合中断時には審判に制止される前に突く動作をやめていたメンバーが、今では「審判が『やめ』と言っても続ける」(菅原コーチ)ほど。「虎」のような闘争心が、W杯での好成績に結び付いた。