ワニ祖先の新種と判明、福島県立博物館など研究
舌骨に着目し水中に適応する過程を研究、解明に期待
米ワイオミング州のジュラ紀後期(約1億5500万年前)の地層から発見されたワニの祖先の「ゴニオフォリス類」の化石について、福島県立博物館や北海道大などの研究チームは新種と判明したと発表した。
現在のワニと同様に喉に水が入るのを防ぐ構造があったとみられ、陸で生活していたワニの祖先が水辺に進出する進化の過程を解明するのに役立つという。論文は8日、英王立協会誌オープン・サイエンスに掲載された。
この化石は全長約3メートルで、群馬県立自然史博物館の研究者らが1993年に発掘。2017年から詳しく調査した結果、幅広い口先などの特徴から新種と分かり、「アンフィコティルス・マイルシ」と命名された。
ワニ類には舌の付け根に、水が喉に入るのを防ぐ「舌基弁」という特有の構造がある。化石には舌基弁を動かす「舌骨」があり、現在のワニと形態が似ていることなどから、水中でも呼吸できる機能を持っていたと考えられるという。
福島県立博物館の吉田純輝学芸員は「舌骨に着目する研究はこれまでになかった。ワニの祖先が水中に適応する進化の解明に期待したい」と話している。