日大、加藤新理事長「前理事長と永久に決別」
捜索後初の記者会見「心よりおわび」、事業部の清算も視野
日本大学は10日、前理事長の田中英寿容疑者(75)が脱税事件で逮捕されたことなどを受け、東京都千代田区の日大本部で記者会見した。新理事長となった加藤直人学長は一連の事件について「心よりおわび申し上げる」と述べた上で、「前理事長とは永久に決別し、影響力を排除する」と強調した。
会見は9月に日大本部などが家宅捜索を受けて以降、初めて。加藤新理事長は会見が遅れた理由を、捜査などの対応を求められ、忙殺されていたためと説明し、陳謝した。元理事らによる背任事件の舞台となった子会社「日本大学事業部」の清算も視野に入れる考えを示した。
13年間続いた「田中体制」については「(前理事長が)理事の選任に権限を持っていた。理事会そのものが形骸化し、報告会のようなものになっていた」と指摘。前理事長への役員報酬や退職金は支払わず、今後、外部有識者を中心とした「日本大学再生会議」を組織し、理事の選出方法の見直しなどに着手すると明らかにした。
日大では、付属病院の建て替え工事などをめぐる背任事件で元理事の井ノ口忠男被告(64)が東京地検特捜部に逮捕・起訴され、11月29日には田中容疑者が所得税約5300万円を脱税したとして逮捕された。
加藤新理事長は井ノ口被告らの背任事件に関し、大学による調査を継続中としながらも、原因について「井ノ口被告が絶大な権限を持ち、日本大学事業部の運営はほぼすべてが任される状態だった」と指摘。同社の不明朗な金の流れの調査や会計業務が終了した段階で清算に向けた検討に入るとした。
一方、会見に同席した同大の顧問弁護士は田中容疑者の脱税事件について、「直接の調査対象にはなっていない」とし、詳細な言及を避けた。
加藤新理事長は「再発防止策を具現化し、今後、大学の経営やガバナンス(統治)が問題視されないよう、信頼回復に努めたい」と述べた。