「第6波」懸念し忘年会は敬遠、苦境続く飲食店
警戒感根強く、配食サービスは好調、オンライン型定着か
新型コロナウイルス禍の中、2度目の忘年会シーズンが到来した。全国の新規感染者数は落ち着いているものの、変異株「オミクロン株」の出現もあって「第6波」への警戒感は根強く、勤め先での忘年会は敬遠傾向にある。飲食店の苦境が続く中、配食サービスは好調で「オンライン忘年会が定着した」との見方も出ている。
東京・新橋の老舗そば居酒屋「寿毛平」。テーブルごとにアクリル板で仕切られ、店員は全員マスクを着用するなど感染対策に余念がない。それでも店長の藤森誠さん(44)は「昨年(12月)と比べれば(客足は)回復傾向だが、売り上げはコロナ流行前の半分以下」とため息をつく。「(オミクロン株に)不安はあるが仕方ない。コロナ前にとは思わないが、せめて売り上げが8割まで戻れば」と話す。
店内では早い時間から生ビールのジョッキを片手に談笑する客の姿が見られた。大学時代の友人同士という60代の男性4人組は「会社の忘年会は反対する人が多くて難しい。感染状況が落ち着いている今ならリスクが低いと思った」と話した。
民間調査機関Job総研が、11月に社会人の20~60代男女575人を対象にインターネットで行った調査によると、87%が勤務先での忘年会を「実施なし」と回答。コロナ前のおととしは35%にとどまっていたが、昨年の92%から高止まりし、敬遠傾向が続く。
こうした中、新潟県見附市では、対象店舗での忘年会や新年会の一部会食費を補助する事業を始めた。10人以上、1人当たり5000円以上の会食が対象。市によると、既に約170件の申し込みがあり、担当者は「少人数の飲み会は回復傾向だが、大人数の宴会を行う飲食店は回復しておらず、支援したい」と狙いを語る。
一方、法人向け配食サービスなどの総合サイト「ごちクル」はオンライン飲み会用に個別配食を始めた。運営会社スターフェスティバル(東京)によると、注文は好調で、広報担当者は「オンライン忘年会は定着した感がある」とする。ただ、主力となる大口のケータリングは売り上げが落ちたままで、「全体としては難しい状況が続いている」と語る。