ノーベル賞真鍋さん、水資源格差「深刻な試練」


オンラインで記念講演、自身のモデルを使い温暖化を説明

ノーベル賞真鍋さん、水資源格差「深刻な試練」

ユーチューブで配信された真鍋淑郎さんのノーベル賞受賞記念講演

 今年のノーベル物理学賞を受賞した米プリンストン大の真鍋淑郎上席研究員(90)が8日、オンラインで受賞記念講演を行った。自身が開発した気候モデルを使い、二酸化炭素の増加と気温上昇の関係などを説明。水資源の格差拡大が「極めて深刻な試練になる」とし、地球温暖化に警鐘を鳴らした。

 真鍋さんはベージュのジャケットにネクタイ姿でカメラの前に登場。手ぶりを交えながら約25分間、英語で語り掛けた。

 講演は感謝の言葉から始まった。当時20代だった真鍋さんを米国に招待したジョセフ・スマゴリンスキー博士に対し、「研究所で働けたことは光栄で喜ばしかった」と述べた。

 続いて大気中の熱の動きと温室効果ガスが果たす役割を説明。1967年に発表した気候モデルを用い、二酸化炭素の濃度が倍増すると、地表の気温が2・3度上がることなどを説明した。

 温室効果ガスの増加で水分の蒸発量も増えるため、乾燥した土地では干ばつが起きやすくなると指摘。一方で、湿潤な土地では洪水が起きやすくなると警告した。

 このため水資源の豊かな地域と貧しい地域の差が広がるとの見方を示し、「世界中の水資源の管理者にとって、極めて深刻な試練になる」と結んだ。