フランス、下院も台湾の国際機関参加を支持


WHO年次総会参加など支持する決議案を採択、上院に続く

フランス、下院も台湾の国際機関参加を支持

フランス上院議員(左)を迎える台湾の蔡英文総統=10月7日、台北(AFP時事)


 
 フランスの国民議会(下院)は29日、台湾が求めている世界保健機関(WHO)の年次総会への参加などを支持する決議案を、賛成多数で採択した。決議では台湾が求めるWHOの年次総会など国際機関への参加を支持し、その実現に向けて政府に外交努力を続けることを要求した。

 5月には上院が同様の決議を可決しており、欧州で台湾との関係強化に動く国が増える中、フランスの動きは今後の台湾との関係に影響を与えそうだ。10月に議会上院の4人の議員が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談している。フランスは過去にも軍事物資を売却するなど台湾と関係は深い。

 台湾はWHOの年次総会にオブザーバー資格で参加していたが、民進党の蔡英文政権が発足したことで、独立を目指す政権として中国が強く反発。総会への招待も取りやめられていた。2020年の新型コロナウイルスの感染拡大でも、WHOからの情報が十分に得られない状況が続き、問題視されていた。

 仏政府は基本的に「一つの中国」の原則を維持する外交姿勢を維持しつつも逸脱しない範囲で、台湾が国際機関に参加することを以前から支持する立場を取っていた。

 今回、下院も決議採択によってマクロン政権の対台湾外交政策を後押しする形となった。

 欧州では11月、バルト3国のリトアニアでは「台湾」の名を冠した出先機関が開設され、欧州連合(EU)も台湾の半導体メーカーの欧州への投資を呼び掛けている。中国はリトアニアとの外交関係で格下げ措置を取り、反発しているが、欧州の台湾との関係強化は今後も続きそうだ。(パリ安倍雅信)