自衛隊接種センターが運営終了、196万回実施
東京・大阪で任務完了式、菅義偉前首相「素晴らしい成果」
新型コロナウイルスワクチンの接種推進のため、自衛隊が東京と大阪に開設した大規模接種センターが運営を終え、30日に両会場で任務完了式が開かれた。設置を指示した菅義偉前首相は「国民の期待、信頼を裏切らない素晴らしい成果を挙げた」とあいさつし、労をねぎらった。両会場では約半年間に、国内全体の約1%に当たる延べ約196万回の接種が実施された。
センターの設置は4月下旬に決定。当初は5月24日~8月末の3カ月間の予定だったが、11月末まで2度にわたり延長された。接種枠は東京で1日約1万人、大阪同5千人。当初は予約で埋まったが、9月下旬以降は枠の8割以上が空く状況が続いていた。自治体による接種の進展などで役割を終えたと判断し、再延長は見送った。
大規模接種の先駆けとして、スムーズな誘導のノウハウや副反応の状況などが自治体や病院向けにインターネットなどで公開された。接種回数は東京会場で131万回、大阪会場約64万回。医官、看護官ら自衛官延べ5万7000人に加え、民間の看護師や旅行会社、人材派遣会社も業務に携わった。
防衛省幹部は「民間と連携して取り組めたことは貴重な経験となった。今後の災害派遣などで生かしたい」と話した。
自衛隊中央病院の分析によると、9月末までに同センターで接種した約120万人のうち、接種後30分以内に副反応が出た人は0・24%の2930人。大半が非アレルギー性の症状で、発疹などのアレルギー症状は0・03%の329人だった。命に関わる重篤な症例はなかった。同病院の河野修一1等陸佐は「接種直後で見れば、安全性は十分に高いと言える」と話している。