日大の田中理事長を逮捕、5300万円脱税容疑で


東京地検特捜部が逮捕、業者から受領したリベートを隠す

日大の田中理事長を逮捕、5300万円脱税容疑で

所得税法違反容疑で逮捕された日本大学理事長の田中英寿容疑者(前列左)と、背任罪で起訴された日大元理事の井ノ口忠男被告(後列右)と医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳被告(日大ホームページより)(一部画像処理しています)

 所得税約5300万円を脱税したとして、東京地検特捜部は29日、所得税法違反容疑で日本大学理事長の田中英寿容疑者(74)=東京都杉並区=を逮捕した。日大医学部付属板橋病院(板橋区)をめぐる背任事件は、脱税での大学トップ逮捕という事態に発展した。

 逮捕容疑は、業者から受領したリベートを除外するなどして所得を隠し、2018年と20年の所得税計約5300万円を脱税した疑い。特捜部は田中容疑者の認否を明らかにしていない。

 関係者によると、田中容疑者が隠した所得は約1億2000万~1億3000万円で、背任事件で逮捕・起訴された医療法人「錦秀会」(大阪市)前理事長の籔本雅巳被告(61)から受領した現金も含まれるという。

 特捜部は、日大本部などを家宅捜索した9月と、日大元理事の井ノ口忠男被告(64)=背任罪で起訴=と籔本被告を逮捕した10月、関係先として田中容疑者の東京都杉並区の自宅を捜索。関係者によると、この際、自宅から2億円超の現金が見つかった。

 一方、井ノ口、籔本両被告は特捜部の調べに対し、昨年末までに田中理事長側に計約8000万円を渡したと供述。現金提供は井ノ口被告の提案で、板橋病院の建て替え工事をめぐる「謝礼」や、理事長再任祝いなどの趣旨だったという。特捜部は、自宅から見つかった現金や両被告の供述から、田中容疑者が所得を隠していた疑いがあるとみて調べを進めていた。

 田中容疑者はこれまでの特捜部の任意の事情聴取に対し、現金受領を否定していた。田中容疑者は1969年に日大経済学部を卒業後、同大に勤務。理事などを経て08年、理事長に就任した。日本オリンピック委員会(JOC)副会長なども歴任した。