オリックスの山本由伸、効いたもう一つの武器
カーブでロッテを翻弄、無四球完封で圧倒的実力を示す
オリックスの山本が初めて覚えた変化球がカーブだった。「小学生の時は遊びで投げていたし、中学生で本格的に。今も握りや投げ方は変わっていない」。独特の軌道で、打者の視界から一度消える。フォークとともに、23歳が持つ武器の一つだ。
序盤、フォークの精度がいまひとつの中、その緩い球を巧みに使った。一回2死二塁ではレアードに対し、フルカウントから、そのカーブ。好打者の頭に全くなかった球だったのだろう。腰を浮かせて反応させず、鮮やかに見逃し三振に仕留めた。
四回2死三塁でも、追い込んだ後の5球目に当たっている山口のバットがぴたっと止まった。外に鋭く曲げて見逃し三振。「きょうはカーブに助けられた」。ピンチを脱し、エースはゆっくりとベンチに戻った。
速い球にタイミングを合わせるロッテ打線の戸惑いは明らか。終盤はフォークの精度も上がり、五回以降は一人の走者も出さなかった。無四球完封、10奪三振。シーズン同様に圧倒的な実力を示した。「きょうは山本、山本、山本」。中嶋監督の言葉が全てだった。